読み終えました。
人間椅子
作品を、もう少し知る
佳子が読む原稿と、あとから届く手紙の重なり。椅子の中に隠れた男が感じる世界。最後の一通で起きる読み替えを、短くまとめました。
物語を短く振り返る
作家の佳子は、題名も署名もない原稿を読み始めます。書き手は椅子職人で、自作の大きな椅子に隠れ、ホテルで暮らしたと告白します。盗みだけでなく、椅子越しに座る人の体を感じることへ夢中になり、やがて椅子が日本人の家に渡ったあと、佳子へ執着したと書きます。佳子が書斎から逃げた直後、もう一通の手紙が届き、最初の原稿は『人間椅子』という創作だと告げられます。
本文から分かること
物語は、佳子を外から描く文章で始まり、その中に男の長い告白が入り、最後に再び佳子の場面へ戻ります。さらに短い手紙が届き、告白を「創作」として読み直させます。
椅子の中にいる男は、座る人の顔を見られません。その代わり、体の重さや形、声、匂い、衣服の感触から相手を思い描きます。顔が見えないため、触った感覚や音が詳しく描かれます。
最後の手紙は、最初の原稿が創作だと述べます。ただし、二通の筆跡は同じで、佳子は椅子を調べていません。本文は、告白がすべて事実だったとも、すべて作り話だったとも確定しないまま終わります。
ことばと時代
- 閨秀作家
- 「閨秀」は、学問や芸術の才能がある女性を指す古い言葉です。本文では、有名な女性作家である佳子を「閨秀作家」と紹介しています。
- 舶来品
- 外国から入ってきた品物のことです。男が作った椅子は、外国製の椅子に負けない品として、外国人が経営するホテルへ納められます。
- 作品の発表
- 青空文庫の図書カードでは、『人間椅子』は1925(大正14)年10月号の雑誌『苦楽』で発表されたとされています。
読んだあとに