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藪の中
作品を、もう少し知る
七つの証言が並ぶ構成、証言の一致と食い違い、ことばと発表時期を短くまとめました。
七つの証言を短く振り返る
藪の中で、金沢武弘の死骸が見つかります。木樵(きこり)、旅法師、捕らえた罪人を役人のもとへ連れてくる放免、武弘の妻の母が、見たものや知っていることを検非違使へ語ります。そのあと、盗人の多襄丸、妻の真砂、巫女の口を借りた武弘が、藪の中で起きたことを語ります。三人の話では、武弘を死なせた人物と、死に至る流れが一致しません。
本文から分かること
最初の四人は、検非違使からの質問に答えます。死骸の場所、縄と櫛、夫婦の姿、捕らえられた多襄丸、真砂の名前などが、返答から分かります。質問そのものは書かれず、何を尋ねられたかは返答からおおよそ推測できます。
多襄丸は、武弘と太刀打ちをして自分が殺したと語ります。真砂は、夫の目に耐えられず、自分が小刀で胸を刺したと語ります。武弘は、真砂が去ったあと、自分で小刀を胸へ刺したと語ります。三つの証言は、死に至る場面で食い違います。
三人の証言には、武弘が杉に縛られていたことと、真砂と多襄丸が藪にいたことが共通して現れます。一方で、真砂が何を望んだか、誰が武弘を刺したか、小刀がどうなったかは同じではありません。
死者の証言の最後では、武弘の胸にあった小刀を、誰かが抜いていきます。その人物は名づけられず、死者の証言にも分からない部分が残ります。
ことばと時代
- 検非違使
- 平安時代の京都で、犯罪の取り締まりや裁判などを担った役所とその役人です。作品では、複数の人物が検非違使へ証言しています。
- 中有
- 仏教で、死んでから次の生を受けるまでの間を指すことばです。武弘は巫女の口を借り、「中有の闇」から語ります。
- 作品の発表
- 『藪の中』は、1922(大正11)年1月に雑誌『新潮』で発表されました。
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