読み終えました。
檸檬
作品を、もう少し知る
重苦しさから檸檬へ移る流れ、色や冷たさの描写、丸善での空想を短くまとめました。
物語を短く振り返る
理由のはっきりしない重苦しさを抱えた「私」は、京都の町を歩き回っています。果物屋で一個の檸檬を買うと、その色、冷たさ、匂い、重さが気持ちを軽くします。避けていた丸善へ入り、画本を積み重ね、その上に檸檬を置きました。「私」は檸檬を爆弾に見立て、店が大爆発する空想をしながら町へ出ます。
本文から分かること
冒頭の「私」は、病気や借金を挙げたあと、それらより「えたいの知れない不吉な塊」がいけないと語ります。以前は好きだった音楽や詩、丸善にも耐えられなくなり、町を歩き続けています。
「私」が心を引かれるのは、壊れかかった裏通り、安い花火、ガラスのおはじきなど、「見すぼらしくて美しいもの」です。本文には、色、形、匂い、手触りが細かく並びます。
檸檬を握ったあと、不吉な塊はいくらかゆるみます。本文は、冷たさ、手触り、匂い、色といった単純な感覚が、自分にしっくりしたと書きます。ただし、丸善へ入ると幸福な感情は再び逃げていきます。
画本を積んで檸檬を置くと、「私」の軽い興奮は戻ります。檸檬は本物の爆弾ではありません。丸善が爆発する場面も、「私」が店を出たあとに思い描く空想です。
ことばと時代
- びいどろ
- ガラスを表す古いことばです。ポルトガル語の vidro に由来します。本文では、色ガラスで鯛や花を浮き出させたおはじきを指しています。
- 丸善
- 作品の終盤に登場する店です。舞台となった京都支店は、1907(明治40)年に京都の三条通麩屋町へ開かれました。本文では、書籍のほか、香水、煙管(きせる)、石鹸などが並ぶ場所として描かれています。
- 作品の発表
- 『檸檬』は、1925(大正14)年1月、同人誌『青空』の創刊号で発表されました。
読んだあとに